さてシリンダーのポートはデカければ良いものではない。

と以前書き込みましたが、実はキャブレターも
似たような感じだったりします。

確かに口径の大きいキャブを付ければ、混合比を
より多くシリンダー内に送り込めますはずですが・・・

ただ大きいだけでは、意味のない場合もあります。

それは流速と言うか気流と言うか、色々と関係してきます。

欲を言えば1次圧縮とかにもですね!

色々言うとキリがありません。



ですが、キャブレターの種類によっても
パワーの出方など色々と変わってきます。

簡単に種類分けすると3種類です。


カッタウェイ

違いはカッタウェイと言うキャブレターの
スロットルバルブの形状によって◯◯タイプとか言われています。

一番多いのは丸タイプです。
こちらのタイプはフラットな出力特性をもったキャブレターになり
セッティングも比較的簡単に出来ます。
ジャイロなどのノーマルキャブレターもこのタイプになります。

次にフラットタイプになりますが、
今は入手が少しばかり難しいかもしれません。

最後に半円タイプ
ハーフフラットとも呼ばれていたような記憶もありますが、
今で言うPWKやOKOなどに使われていおるタイプです。


なぜこんな種類があるかといいますと丸タイプは一般用とかですが
フラットとか半円タイプはレース用やモトクロス用に開発されました。

レースなどはレスポンスが大事になります。

さて、ここで不思議なのが、何故カッタウェイの形状で
レスポンスが変わるの?ってことです。

キャブ_カッタウェイ

簡単に説明しますと図のようになります。

水門がカッタウェイとお考えください。

水門の厚みがあると水の勢いが、そこでかき消されます。
その分厚みが薄いと勢いがかき消させる前に水が外に流れます。

カッタウェイの形状ででも、同じような事が起きているのです。

水門の水が流れ出した時どちらが勢い良く速く水が流れ出すか?
それはフラット系ですよね?なのでレスポンスが良いということになります。

ただ、水圧が下がった場合などは、フラット系タイプの
水の勢いが下がってしまいます。

その点、丸タイプは元々水の勢いがあまりないので
水圧が下がってもあまり変わりません。
これが丸タイプの強いところです。


さて、この勢いは、空気を水に例えました、エアーの吸い込みが
良くなるということは、燃料の吸い込みも多くなりますよね?

そうです、この空気の流れ流速になるので燃料の吸い上げにも関係してきます。

流速が遅ければ燃料の吸い上げも弱くなり、
流速が上がれば燃料の吸い上げも強くなります。

そうです、メインジェットなどの番手の関係もしてきます。

流速が速くなると燃料も多く吸えますので、
実はメインジェットの番手は小さくて済みます。

色々なキャブを使用したことがある人なら、おわかりでしょうが
同じ口径のキャブでも形状の違うキャブを使う
ジェット類の番手も変わってきます。


ここでキャブの形状で説明しますと

丸タイプ:流速は普通(遅め)

フラットタイプ:流速は速め

フラットと半円タイプは性質は基本的に同じです。

丸タイプの良い部分とフラットの長方形角タイプの良い部分を
集めたようなってのが当初の売りでしたが、今となっては・・・・


そして形状とジェット類の関係は

丸タイプは流速が遅めなのでメインジェットは大きめです。

フラット系は流速は速めなのでメインジェットは小さめで済みます。

ストローで説明しますと
太いストローでゆっくり吸う
細いストローで勢い良く吸う

同じ量を吸えると思います。

シリンダーの容積は同じですので速く吸うかゆっくり吸うか?

レスポンスが良い=勢い良く吸う(流速が速い)
レスポンスが悪い=ゆっくり吸う(流速が遅い)

その差と言えば説明が分かりやすいかもです。

という事は、お分かりの人は居るかもしれませんが
ストローの口が細いと流速が速くなる

口径の小さいキャブの方が流速が速くなります。

なのでノーマルキャブは番手が小さいのです。


流速は確かに速ければレスポンスが良くなります。

ですがやはり口径が小さいと限界が出てきます。

そこでビックキャブにと言えるのでしょう。

ただ大きければいくらフラット系のキャブでも流速は遅くなります。

そこのバランスが実は難しかったりします。


そこで、
丸タイプとフラットタイプの良い所取りした半円キャブと同じように
丸タイプの変形版のキャブが存在します。

デロルトタイプ
と言ってもデロルトはキャブのメーカー名で色んな種類のキャブが
あるのですが代表的なのが楕円タイプのキャブなので勝手にデロルトタイプと
言ってるだけだと思われます。

こちらはカッタウェイは丸タイプなのですが、楕円タイプと言われる理由があります。


キャブ口径


キャブの吸い込み口が楕円形なのです。楕円形なのですが

通常だと○○パイとか吸い込み口(スロットル部分)の直径で言われていますが
楕円タイプは、楕円なので????ですよね?

楕円タイプの口径数は横幅で言われているみたいです。(楕円の細い方)

ですが、実際の性能は口径で言われている数値より高いです。

そして何故、丸タイプなのに変形版の良い所取りキャブなのでしょう?

答えは簡単、吸い込み口(スロットル部分)を変形させたことによって

フラットタイプと同等の性能(流速)を出せるのです。

カッタウェイの形状は水門と言いましたが、

こちらの楕円形の口径は、ある意味水道のホースと
説明したほうがよろしいでしょう。

通常、ホースから水を出した場合の勢いありますよね?
それをより勢いを付けて水を撒こうとする時、
ホースの先端を潰して水の勢いを良くすると思います。

楕円口径のタイプはあれに相当します。

楕円にして吸い込み口を補足する事により流速を上げています。

なら口径を小さくすれば良いはないか?ですが、
そうれだと吸い込みの容量を稼げません。

そこで楕円にして吸い込みの容量を稼いでいるのです。

ここであえて全体に大きくしないか?

大口径のキャブはアクセルを一気に上げたり全開にすると
どうしても吸い込み力と言いますか流速がどうしても遅くなります。

そこで、あえて楕円形にして楕円の細い状態のまま吸い込むように
すれば流速を出来るだけ落とさないままアクセルを開けれるのです。


この楕円タイプのキャブは、デロルト製のキャブだけではなく
ケイヒンやミクニ製のキャブでも使われています。
実は、市販のスクーターにも使われているんですよね~

2サイクルの古いタイプのDIO(どの形式だか忘れた)で使用されていますし
ヤマハの2サイクルのスクーターは殆どこの楕円タイプを使用しています。

なのでグランドアクシスも100CCのエンジンなのですが、
キャブレターは確か16パイだったか17パイだったかな?
小さいキャブを使用しています。

16~17パイのキャブと言えばジャイロ後期の
エンジンのキャブと同じサイズで倍のエンジンを
何事もないかのように動かしています。

そのような感じで、キャブは大きければ確かに
吸い込み容量も増えますが、大きければ
良いだけじゃ無いのも分かるかと思います。


自分の車体をどう改造していきたいか?どのような
ステージで走らせたいかなど、ご自分の使用用途に
合わせてキャブを選ぶのが大事です。


最終的にいじったエンジンの仕様に合うバランスの取れた
キャブレターを選ぶことが大事です。
バランスが合っていないキャブとかセッティングの出ないキャブを
使用していると、いくら大口径のキャブを使用していても
ノーマルキャブの方が速かったりしますので(笑)