ボアアップをする場合 

シリンダーの組み方や、慣らし運転の方法は人それぞれです。

それを踏まえて、参考にして頂けると(^_^;)

新品のシリンダーやポート加工して始めに組むシリンダーの場合は
シリンダーのバリ取りをします。

シリンダーを面取りしなくてよいの?と思う方は居るでしょうが
実際にはポートとシリンダーの角が最終的に性能のキモになったりもします。


面取りはそのキモの部分を削り落としてしまい性能UPさせるはずが
性能を逆にダウンさせてしまう恐れもあります。、
面取りと言う工程までせずに軽くバリを取る程度の方が性能は発揮します。

バリ取りは800~1000番程度の耐水ペーパーで軽く舐めるように
バリ取りをするだけで十分かと思います。 

その際、ピストンも確認してバリ取りをしておくと良いでしょう。


さて、ここからシリンダーを組む作業に入ります。

まずは、ピストンにピストンリングを組みます

ピストンリングはう上下方向があるものや2本リングの場合1番(ピストンの上側)と2番リング(下側)の2種類ある場合があります。

リングを眺めると「 T 」のマーク(トップマーク)が入ってたりするものがありますのでそれが上向きになります。
上下違うリングの場合は、似たような表示が両方に付いているかと思います。

それとは別にエキスパンダーと言う12角形くらいの
変なリングがある場合がありまが(ノーマルには付いています)
ついている場合はピストンリングを入れる前に2番リングの部分に
入れてからピストンリングを入れてください。

ピストンリング




画像を見て分かるように、Tマークがない場合でも
リンクの合わせ部分の突起に合わせ斜めにカットされている
場合もあるので組む際は、その部分も確認して組んでください。


リングが組み終わったらピストンのリング部分ピストンとリングの間に
オイルが流し込んでリング内全体に馴染むようにしてください。








通常だと使用している2サイクルオイルを塗ったりして馴染ませますが、
自分の場合は、2サイクルオイルの代わりにベルハンマーを使用しています。


次にピストンピンが抜けないようにするCクリップを付けます。

ピストンの左右両方に入れるのですが、この段階では、
ピストンのキャブ側だけCクリップを入れます。

このクリップが非常に入れづらいですので細いラジオペンチなどで
挟みながら押し込んでいきます。

その際、入りづらいからと言ってC部分の空いた部分の隙間を
無理に縮めたりしないでください。

無理に縮めると、外れやすくなり、エンジン稼働中にCクリップが
外れてしまいシリンダーやピストンを大破させてしまう可能性が
ありますので注意してください。


Cクリップ



クリップを入れる場合中に溝がありますので確実に溝に入れないと
外れてしまいます。

入れたクリップをラジオペンチなどで回転させてみてちゃんと
入り込んでるか確認してください。
Cの隙間の開いている部分を窪み部分に掛からないようにします。

上の画像を参考にしるとCの開いている部分が上か下にすると良いでしょう。


そして次にピストンをコンロッド(クランクに付いている柱)に取付けます。

この段階で、Cクリップをピストンにはめる時に誤ってクランク室に
落とさないようにウエスやペーパータオル等で中に落ちないように
養生してください。


スモールベアリング(コンロッドに入れるローラーが入ったベアリング)
にオイルをまぶします。
その後、コンロッドの穴スモールペアリングを入れます。


次にピストンピンにもオイルをまぶし、ピストンにピストンピンを
四分の一程度キュブ側では無い方に差し込みます。

次にコンロッドに入れたスモールベアリングの中をピストンピンが
通る位置に持っていきピストンピンを押し込んでください 。

ピンは、先程入れたCクリップに当たるまで押し込みます、

押し込んだら、先ほどと同じように、今度はキャブの逆側の
Cクリッオを取付けます。

これでピストンの取付けは終わりです。


次にシリンダーの取付けです。

ベースガスケットとシリンダー内に2サイクルオイルを塗ってシリンダーを組みますが、その場合ピストンをシリンダーに入れるのが慣れていないと苦戦します。

ピストンリングを指で押し込みながらシリンダーに入れます。

その際、ピストンとリングの合せ目似合っていないとシリンダーは入りません。


ピストンをシリンダーに入れ終わったら、シリンダーヘッドを付けないまま、
4本のボルトを取付けます。

その時は軽く手締めで結構です。(すぐ外しますので)

そしてシリンダーが上下に動かないように抑えながら、
空冷ファンを手で回してクランクを動かしてください。

この時点で、回らない場合は何かしら組む際に間違った恐れがあります。

ピストンを一番上まで上げてから少し下げたくらいにして、オイルを少量流し込みます。
流し込んだら、クランクを数回~数十回回します。

オイルを流し込んだの少しばかりスムーズ気味になります。

次に4本のボルトを外します


外したらヘッドガスケットとシリンダーヘッドを載せ4つのボルトを
手締めで締めていきます。 

ボルトを締める際、クランクを手で回しながら対角線状に少しづつ締めていきます。 

作業を2人とかでやる場合は、その一人にシリンダーのボルトを
締めている間、常にゼルモーターを回してピストンが上下している状態で
組むとより良いピストンとシリンダーの芯出しが出来ます。


最後の締め付けはトルクレンチがあれば規定トルクで閉めれば良いですが 
ない場合はラチェット等で締めていると思われますのでラチェットの頭部分を持って 
片手で思いっきり締める程度でOKです。 
心細かったら、頭を持って思いっきり締めた状態から30度程度締め付ければOKです。

これでシリンダーが組み上がりましたので、カバー類、プラグ、マフラーを
付けてもとに戻します。 

組み上がったら、エンジンを掛けます。 

この状態で特に燃調等は、まだしないで結構です。 

エンジンが掛かったらアイドリングの状態で、最低でも1時間以上
(出来れば3時間くらい) 
かけっぱなしにして置いてください。 

この作業で、初期のすり合わせ作業的な?
無駄な面取り作業をせずとも、勝手にすり合わせていきます。
(この作業が始めにバリ取り作業をか軽くしかやらなかった理由にもなります)


その後は、慣らし運転ですが、基本的に6000回転以下で走行 します、
タコメーター無いので時速25キロと言いたいですが、時速40キロ以下で
アクセルをラフに絶対に開けない、アクセル全開禁止、急加速禁止で頑張ります。 

ならし運転をしながら、エンジンの音とか状態を確認しつつ
燃調をこの時点でしていきます。 

燃調は他人に聞いても意味はありません。 

何故なら、地域の気温気圧高度などの条件によって変わりますし、 
乗り手の体重や走行条件によっても変わりますので、
自力で燃調を取るしか無いです。 

慣らし運転の第一段階は130キロくらい 。
100キロ~130キロ位は、比較的抱きつきを起こしやすいので。

シリンダー交換後130キロ後から時速50キロまで速度開放ですが、 
急加速や出だしでアクセル全開は禁止 

そのまま800~1000キロまで続けて、その後は、60キロまで開放 
次は300辺りか600キロ周辺、場合によっては1000キロ辺りでも、
抱きつき現象が起きやすいです。

ですが、やはり急加速は禁止、出だし全開も禁止 


そのまま60キロ解放後から100キロ走った後に 
点火プラグの焼け具合を確認して、濃いめでなければ再度燃調見直し 

見直して大丈夫そうなら急加速と出だし全開も開放 

ですが60キロ以上は禁止で200キロ程度我慢した後に 

もう一度、点火プラグ確認して問題なければフル開放 

フル開放ですが、500メートル以上のアクセル全開はボアアップ後 
2000キロまでは控えめに 
1500~1900キロあたりで、ほぼ最後の抱きつき現象
(油断してるとこのあたりで抱きつきます。)


何故鳴らしが必要かといいますと、ピストンと
シリンダーのすり合わせ(あたりを付ける) 
だけと思っている人は、多いと思いますが、
実際には金属(アルミ含め)は熱膨張により、 
膨らみますのでその膨張した状態で馴染ませないと意味がありません
ですので、あたりをつけるまでは時間がかかります。 

ゆっくりと熱を入れてゆっくり膨張させて当たりを付けてあげないといけません 

一気に加速(一気に熱が上がる)させると一気に膨張しますので
その膨張でピストンリングが ポートに引っかかったりビストンが
膨張して広がりシリンダーを傷つけたりします。 

同じ材質なら、同じ膨張の仕方をするのでしょうが、
ピストン、シリンダー、ピストンリング 全て違う材質なので
膨張の仕方が違いますので一気に熱を上げるとバラバラに膨張しますよね? 

なので慣らしは、それなりの距離を走るのが必要になるのです。


実はスパルタ的な慣らし方法もあります。

この方法は、ボアアップ車限定で、
しかもシリンダーが2機目と言う条件付きですが(笑)

何故ボアアップ車限定かというと、ミニカー登録車を
ボアアップさせると側車付軽二輪登録をしなければなりません。

それを利用する形になります。

そして何故2機目のシリンダーでないとダメなのか?

それは燃調をちゃんとした状態じゃないと確実に一発抱きつきを起こすからです。

その条件が揃えば、あとは慣らしをするだけですが、
慣らしをするのに何故かお金がかかります(爆)


まずシリンダーを組んで100キロくらいは、通常の方法で!

その後は、急の付く動作をしないのを条件で携行缶に燃料を入れて、
高速道路に乗りましょう(爆)

そうです!

高速道路でならし運転をします。

高速道路なら比較的安定した回転で走行でき、ほぼ同じ回転で
同じ条件で走り続けられるからです。

高速道路の最低速度は60キロだったはずなので、初めは60キロ程度で走った後に

走行距離5キロごとに5キロくらいづつ上げていきます。

最終的には70~80キロを目標にですが、70キロで走ったほうが安全です。

パーキングやサービスエリア毎に20~30分くらいエンジンを休ませつつ
燃料5~10リットル分程度走らせれば慣らしはほぼ完了しているはずです。

ただ、このスパルタ式慣らしは、はっきり言って、
自殺行為なので、おすすめはしません。


焼き付かないと自信があるセッティングをしている人でも、
抱きつきなど起こす可能性が高いです。


実際に高速道路をジャイロで走った方はわかると思いますが
本当にマロッシの68ccなどでは、トルクもパワーも足りないので
ギリギリいっぱいの走行になります。

エンジンに余裕がない状態で走りますので、
地雷地帯をダッシュで走って感覚です(笑)



命を大事に、高価なシリンダーも大事にという事で、

無理せず、焼き付かせないように慎重にゆっくりと
慣らしをしましょう(^_^;)